ありがとうございます。でも、テーマ設定はクラス内で一番最後だったんです。最初のうちは、他の大学生を招いてディスカッション大会を開くなどといったイベント開催のアイデアばかり出していたのですが、もっと継続的で身近なものにしたかった。
みんなで悩んだ末に出てきたのが、違法駐輪を減らすことで市内の安全につながれば・・・というテーマでした。
それで、まずは街を歩き回って、違法駐輪の様子を見に行きました。そのなかでも、一番駐輪数の多い2カ所、西宮北口駅前と、駅近くのショッピングセンター前に絞って、調査をすることになったのです。どの時間帯に、どんな人が、どんな目的で駐めているのか、実際に張り込みしてみようと。でも、このフィールドワークは思ったよりも大変でした(笑)。
12月のとても寒い時期だったので、じっと立っているのは辛かったですね(笑)。平日と休日で、朝6時~昼12時、12時~夕方6時、6時~午前0時とシフトを組んで交代制にしましたが、たまに連続で当番になったりして。
それに、違法駐輪している人に突撃インタビューをすると、「忙しいから!」と怒られたこともありました(笑)。
それでも、やってみて良かった。頭のなかで予想していたものとはかなり違っていましたから。
一番多い時間帯としては、11時~13時。銀行やショッピングセンターの利用客が駐めているケースが多かったのです。ほとんどは、通勤の人たちが朝早くに駐めているのかと思っていたら、通勤する人はちゃんと有料駐輪場を利用しているんですね。
見張り役として市から派遣された方々に話を聞くと、駐められた自転車の整理整頓はできても、注意や指導はできないとのこと。このままでは減らないと思いました。
違法駐輪が多いのは一体誰の責任なのか、考えられる対象をゲームのプレーヤーに見立てて考えました。駐輪をしている市民、十分な対策を施していない西宮市、来店時など駐輪の動機を作っている企業。その3つのプレーヤーがどう動いたら問題が解決されるのか、何度もみんなで議論しました。
最終的にまとまった対策案は3つ。1つ目がペナルティ(自転車が撤去されたときの保管料)を上げる。現在の1,800円を値上げすることは効果的ですが、あまり高くなり過ぎると新しい自転車を買ってしまう可能性も出てきます。
2つ目が駐輪場の無料チケット配布。居酒屋さんなどが、来店客に対して有料駐輪場のチケットを配布するものです。
そして3つ目が、違法駐輪者が心理的に止めにくい環境を作るというもの。ベンチやプランターを設置することで、駐輪しにくい雰囲気を作るというアイデアです。
けれども、ゲーム理論についてはすべて自分たちの独学。途中で何度も分からなくなって夜遅くまで悩んだこともありました(笑)。
はい。もちろん、分からない部分は先生に相談しましたが、基本的には自分たちで動きました。
プロジェクトを進めるうえで実感したのは、人それぞれにいろいろな考え方を持っているのだなということ。8人のメンバーの中でも、みんなの意見をまとめるのが上手い人もいれば、話をひっくり返す人もいる(笑)。
私もそれを実感しました。それぞれに長所と短所があって、チームはお互いにそれを補い合っているんだなと思いましたね。
優勝したときは本当に嬉しかったですね。そのために、ずっと毎日夜遅くまで残って準備をした甲斐がありました。最後の方は土日も学校に出てきて用意していたし、前日の夜はそれでも終わらないから、西宮駅の広場でパソコン開いてギリギリまでやってました(笑)。
正直、とても緊張しました。西宮商工会議所の専務理事や企業経営者など、普通なら話をすることもない方々と食事するなんて、なかなか経験できません。正装してフランス料理のフルコースという雰囲気も初めてでしたから。
緊張したり、楽しかったり・・・とにかく初めての経験でした。これから社会に出たときに同じような場面が出てくると思いますが、きっとその時にこの経験が役立つのだろうと思いました。