大きな会議室、円形のテーブル、壁には大型スクリーン。ドラマに出てきそうな最先端のオフィスの一室で、今から僕はプレゼンテーションを始めようとしている。前にずらりと座っているのは、NTT西日本の本社関連部の方々。ものすごく緊張しながらも、1週間悩み続けた企画について、説明を始めた。
僕たち学生3人が提案するのは、日本海側にある小さな島に、光ファイバー敷設を実現するための配信コンテンツのアイデア。都市部であれば、すでに光ファイバーが通っているが、地方の場合は自治体に光ファイバーを敷設してもらう必要がある。この案件は、すでに自治体にむけて提案されているのだが、今回は、僕たちへの課題として与えていただいた。
いくつかの提案のなかで僕が担当したのは、観光客むけのサービス。
調べてみると、歴史的な名所があるこの島は、40~50代の和歌や俳句好きな人たちが多く訪れるらしい。神社など観光ポイントに無線LANを設置して、モバイル端末で案内情報が得られたら、観光の楽しみがより深くなるのではないか。
その感動を俳句の作品で応募してもらって、優秀者には島の特産品が届く・・・。
上長の評価は、アイデアはとてもいいが、ビジネスプランがしっかりしていない。企画を実現するためには具体的に何をするべきか提案しないといけない、と厳しいものだった。それから、もっとゆっくりと話すこと。
「学生としてでなく、うちの社員と同じように聞かせてもらいます」と、真剣に評価してくださったことがとても嬉しかった。
その後で、一番若い社員の方が別のプレゼンをするところを見せてもらった。専門用語が多くて難しかったが、さすがだなぁと思った。話し方も上手だが、説明が論理的で分かりやすい。自分も、もっと論理展開を上手く組み立てなければいけないと思った。
「経営幹部との意見交換会」の際には、「仕事で一番重要なことは、信頼関係を築くこと」と教えていただいた。信頼は、築くまでにとても時間がかかるが、壊れるときはすぐに壊れてしまう。その言葉が印象に残った。
確かに1日を振り返ってみると、その言葉は社員の方々の行動にも表れていた。
プレゼンの時間は必ず20分を守ること。上司の貴重な時間を使うのだから、決められた時間内で終えなければならない。今日のプログラムも分刻みに予定が組まれており、その予定を作ることも守ることも、相手の信頼を得ることにつながっていくのだろう。
一人の方が「仕事はみんなでするものなんだよ」と教えてくださったが、チームワークで仕事をするからこそ信頼関係が大切なんだと納得した。
そして、今回のプログラムに参加して一番の収穫は、CUBEで学ぶべきことがはっきり見えたこと。僕は、CUBEに入学して以来ずっと、マネジメントという言葉を消化しきれずにいた。経営だけではなく、ビジネスよりもっと広い意味・・・?マネジメントを勉強するってどういうことなんだろう?
その意味を理解できたのは、部長の「会社で重要視されるのは、大学でどんな勉強をしてきたかでなく、その人が大学でどんな人間力を育てたかなんだよ」という話だった。
そうか、マネジメントって人生すべてに当てはまるんだ!物事の進め方や人とのコミュニケーションなど、いまCUBEで学んでいることは社会で求められていることなんだ。自分のなかで1本の糸がつながった気がした。
それは、僕にとってCUBEの理念を理解できた到達点であり、これから何を学ぶべきかが明確になったスタート地点だと思っている。