2年生の頃から商社に行きたいと思っていました。仕事の規模が大きいこと、物事を変えていく力が必要とされることなど、授業で調べて興味をもったのが最初のきっかけです。それに、僕はブラジル人とのハーフなので、将来的にはブラジルに渡って、国の発展に貢献したいという気持ちも強くありました。自分の今までの経験を生かして、ブラジルと日本の架け橋になりたいなと。
16歳のときに初めて日本に来たんです。本当は働くつもりで来たのですが、ちょうど受験のタイミングだったので、とりあえず頑張ってみようと思って。ただ、日本語はまったく話せなかったので、日本語の先生を雇って1週間で小学校の漢字を全部覚えて、2ヵ月後に高校を受験しました。
それで、合格して高校に行くことになったんですが、言葉が通じないと授業にはついていけなし、友だちとのコミュニケーションも取れない。もう辞めようかなとも思いましたが、放課後のサッカーが楽しくて、そこから徐々に溶け込んでいきました。
その話はしていません。商社を志望する外国人は多いので、僕の苦労話なんて珍しくはないです。日本人とか外国人とか区別せずに、日本人のなかで勝負したかったので。
自己PRしたのは、日本とブラジルの架け橋になりたいということ。ブラジル現地や周辺諸国にも詳しいですし、日本とブラジルどちらの国民性も理解できる。性格的なことでいえば、粘り強さと、どこに行っても馴染める力があることを訴えました。
そんな大きなことを言うと恥ずかしいと思う人もいるかもしれませんが、自分の夢を堂々と語れる人でありたいと思って。インターンシップでコロンビア大学に行ったときに、友だちになった中国系アメリカ人は「俺はウォールストリートのトップになる」とずっと言っていました(笑)。「大統領になりたい」という学生もいたし、夢を持つこと、それを人に語れることって大事だなと思いましたね。
大学受験はせずに、今度こそは働こうと思っていたんです。高校に行かせてもらったので親に申し訳ない気持ちがあったので。でも、高校の先生がもったいないと。大学で学ぶことで就職の可能性は広がるからと説得されて、挑戦してみることになったのです。
いろいろな大学のオープンキャンパスに行きました。東京の大学もいくつか見てみましたが、一番自分に近いと思えたのがCUBEでした。
いや、勉強が好きという訳でもないんですが、負けず嫌いなので(笑)。でも、CUBEに入って勉強の仕方は変わりました。以前は興味のあることにだけ動いていましたが、もっと広く教養を身につけることも大切だと気づきました。たとえ今は興味がなくても、人として成長できるし、そこで得たものは将来役に立つだろうなと思います。
しかし、コロンビア大学のインターンシップに行ってみて、自分はまだまだ甘いなと思いました。
情報通信に関する専門機関で働いたのですが、英語の資料をどっさり渡されて、出されたテーマについて調べてレポートを作るという毎日でした。僕は英語に関しては問題ないのですが、それでも内容が専門分野なので大変でした。CUBEから3人の学生が参加していたので、各自が書いたレポートの英語をチェックして編集することも僕の役目でした。
直接的には分かりませんが、他の中国人やブラジル人学生はもっと頑張っていて、自分の甘さを実感させられました。16歳で初めて日本に来たときの衝撃を久しぶりに思い出したというか(笑)、自分は結構やっているつもりでも日本のなかの一学生に過ぎないなと。彼らに負けたくないですし、もっともっと勉強したくなりました。
企業の文化や考え方を理解したうえで、そこにどっぷりと浸かるのではなく、自分の視点から物事を言える人になりたいと思っています。これからは、日本の企業であっても海外に進出したり広い視野が必要になってくるはず。そういったときに、僕自身の経験や考え方を生かすことができたらいいなと思っています。
そうなりたいですね。日本の技術でブラジルをもっと活性化させていきたいし、2つの国の発展に貢献できたらいいなと。そのためには、自分に甘えずもっと勉強していこうと思っています。