「あそこに見える家具量販店あるでしょ。今ものすごく売れているけど、どういう戦略が利益を生んでいると思う?」ランチで雑談していた時に、ディーエスピーリサーチの中西社長が話し始めた。
答えに困っていると「倉庫を持たないで在庫を店舗に置いているから、経費削減が上手いんですよ。お客さんもその場で持って帰れるから喜ぶでしょ。」なるほど・・・。正直、今までそんなこと気にしていなかった。
社長から聞く有名企業の戦略や、僕ならこうするという経営アイデアに私は関心するばかり・・・。やはり実際に経営をされている方の話は迫力がある。
中西社長は非常にお忙しい方なのだが、今日はラッキーにも午後からじっくり話を聞けるようだ。午前中に参加した3カ国間の電話会議で、社員の皆さんが英語を話すことに驚いたと話すと「英語はもちろん必須だけど、これからは中国語も大事ですよ」とさらにハードルの高い答えが返ってきた。
そうか、海外で働きたいなんて口では言っていたけど、なんて甘いこと考えていたんだろう。改めて本気で勉強しなくちゃと痛感した。
経営的に危険を感じた時のこと、成功例の話。社長のこれまでの経験談に、どんどん引き込まれていく。「本当はね、経営するうえで人間関係はとても大事なんだよ」ビジネスは戦略だけでは成功しない。特に外国人とは、会話ができるのは当たり前で、そこからいかに通じ合うことができるか。コミュニケーションを大切にしていくようにとアドバイスをいただいた。
それにしても、社会状況や経済の話など私には荷が重い話題だ。日頃からもっと新聞を読んだり、大人と会話することに慣れておかなければいけない。佐藤先生がいつもみんなに話しかけてくださるのは、そういう意味もあったのかと気づいた。
社会人として望まれることは、2日目のエコバシでの営業体験でも実感した。上辻社長と一緒に街中のスーパーマーケットを訪れ、商品が陳列されている様子を撮影したり、電話営業をさせてもらったからだ。しかも、先方には私がインターシップの学生であることなど、まったく伝わっていない。本当に一社員として、一社会人として、現場に立つという貴重な経験をさせていただいた。
エコバシについて社長から少し説明をうけると「じゃ、早速電話してください」とひと言。「えっ??・・・すみませんもう1回言ってもらえますか?」私がメモを取っていなかったことに「そういうのはダメだよ」と叱られてしまった。人の話を聞くときにはもっと集中しなくてはいけないのだ。
電話をするときには、まず話すことを紙にまとめるように言われ、準備を整えて電話をかけるが、相手の反応は当たり前ながら予想していた答えではない。あたふたしながらも、社会に出たら常にこういう応用力が求められるのだと実感する。もっと頭を使って生きていかなくては!
営業が終わると、みんなでテーブルを囲んでおやつタイムが始まった。社員の方たちがやさしく話しかけてくださって、ほっとリラックス。上辻社長も「君のことを社員だと思っているから厳しいこと言うんだよ」との言葉に嬉しくなる。
仕事をするときには、ずっと集中して話などしないと思っていたが、逆にこういった時間も大切なことに気づいた。授業中に先生が「余談だけどね・・・」と話し出すと、早く授業を進めてほしいのにと思っていたが、実は余談のなかに大切なことが隠れているのかもしれない。
2日間のインターンシップを終えて、帰りの満員電車に揺られながら思った。「働くって大変なことなんだ。就職したら毎日これをするんだな」と。きっと私は自分がやりたい職業でないと続かない。お給料が高いとかそういった条件でなく、本当に自分が楽しめる仕事や働き方をしないと続けられないと思った。
社長のお二人もそれぞれに「経営は苦しいけれど、とても楽しい」と話しておられた。私も、そう思える仕事につきたい。それが具体的に何なのかはまだ分からないけれど、そのためには今から必死で努力して力を養っていこうと心に決めた。