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特別寄稿

CUBE創設に寄せて

写真:野田 一夫

野田 一夫
財団法人 日本総合研究所理事長、多摩大学名誉学長

海外の一流大学を知っている人なら誰でも思うだろう。キャンパスの広さや建物・設備の充実度はもとよりその中に漂う知的雰囲気や活力にいたるまで、日本の大学など未来永劫とうてい及びそうもないと・・・。そこで僕はとうの昔に発想をまるきり転換することにした。大都市繁華街の駅前に建つ高層ビル一棟を丸ごとキャンパスにして、何から何まで在来の日本の大学とはまるきり違った画期的なやりかたで研究・教育活動を活発に展開する大学・・・、事実上の人口超密先進国日本が国内外に発信するにふさわしい21世紀型大学・・・、これなら未だどこの国にも実現していないはずだと・・・。

この夢を実現するための最大の障害は、愚かしいほど時代遅れのわが国の“大学設置基準”だった。が、先年遅まきながらやっとこの障害がかなり取り除かれたのに・・・、夢はやはり夢のまま終わるのかと諦めかけていた矢先、突然吉報が届いた。09年春、阪急電鉄西宮北口前に建つビルを丸ごとキャンパスにして、甲南大学マネジメント創造学部(CUBE)が開設されると・・・。僕の長年の夢を知ってか知らずしてか、同学部開設半年以上も前の去る6月、佐藤新学部長がわざわざ東京赤坂の僕のオフィスに訪ねて来られ、構想を熱っぽく語ってくれたのだ。お話を聞いて感激した。僕の長年の夢は遂に実現されるのだと・・・。

CUBEの誕生により日本の大学は必ず新しい時代を迎えることになるだろう。そのためにも、革新者であるCUBEは絶対に大成功せねばならない。いや、CUBEは必ず大成功を収め、それによって長い間旧弊が支配してきた日本の大学界から、はじめはぽつぽつと、やがて次々とCUBEを追い、CUBEを超えようとする大学が出現するだろう。先駆者CUBEが後進によって超えられるはずはないが、何れにせよ日本の大学界はこのような革新的競争の激化によって俄然活気づき、気がつけば、世界の大学界全体にある面で影響を及ぼすことになっているかもしれない。これが僕のCUBEに託する夢であり、日本の大学に寄せる新しい夢だ。CUBEの創設を心からお祝いし、その大成功を確信する所以である。

2008年12月

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