英国のケンブリッジ大学は2009年に創立800年を迎える。日本では最古の慶應義塾大学でも150年に過ぎない。それでいながら若い力を発揮できずに、世界大学ランキングのベスト10に東大・京大すら入っていない。だからこそ、日本の大学では私学が次々と改革を行い教育の前進を目指している。
日本の教育の最適な状態とはどんな姿になるのがよいのだろうか。第一に文科省がないことがよい。福澤諭吉はこのことを明確に宣言した。開成学校という東大の前身が開校にあたって福澤諭吉を式典に招いた時、先生はこう述べた。「まことにすばらしい国立学校ができたことを喜びたい。しかしこれからこんなすばらしい学校が次々と拡大したら、日本の教育は衰退するだろう。」式典に参加した並みいる人々は呆気にとられた。福澤先生には明治19年の帝国大学令に準ずる慶應義塾が残念でしかたなかった。文部省など無用な長物と考えたからだ。
甲南大学のマネジメント創造学部の設立趣意書を読んで驚いた。文科省の考える大学像とは全く違うエネルギーに感銘を受けた。楽しく学ぶ環境。それは寺子屋教育だ。そこには理論と実践。経済と経営をハイブリッドしたカリキュラム。地域を巻き込んだプロジェクト学習。英語を学ぶのではなく英語で学ぶ力をつける。こんな大学ならどんどん拡大発展してほしい。
2008年12月