グローバルプロジェクト【開発経済-アフリカ各国の経済成長-】の授業で、現在日本に留学中のMigan Anthonyさんをゲストに迎えました。Miganさんは西アフリカのベナン共和国から来日され、2022年から神戸情報大学院大学で学び、この4月からは甲南大学に進学することが決まっています。
(→詳しくはKONAN-PLANET https://www.konan-u.ac.jp/konan-planet/news/ryugakusei1/)
母国では多くの小規模農家さんが、主食のトウモロコシを手作業で作っており、収穫ロボットを作れないかとその技術を日本に学びに来られました。流暢な日本語でベナンの現状を説明してくださって、本当に有意義な時間でした。
アフリカ諸国の経済を学び、アフリカのある国/地域で困っている問題を、日本の企業や政府がどう協力すれば解決できるか、アフリカの持続的な成長に貢献できる方法、結果として日本にも経済利益をもたらす方法を探していきます。答えのない難しい問題を考える時、徹底的なデータ分析に加えて「本当に困っていることは何か」を実感しておく必要があります。開発経済学では、農業従事者が減るのは、所得の上がる魅力的な仕事に就くため都市部に行きサービス業に従事するからと考えます。実際に、ベナンの農業従事者は1991年に全人口の56%から2022年28%と半減しています。若者が農業離れを起こし、今後は農業の高齢化も始まってしまうでしょう。しかし、農家さんの平均所得はそれなりに上がっており、都市部のサービス業平均所得とあまり変わらない。そのうえ、主食のトウモロコシはほとんど輸出に向けられていないなど、何か違う問題がありそうだと想像できます。
Miganさんは、その答えをわかりやすく教えてくれました。ベナンの農家さんは家族経営で、主食のトウモロコシ栽培の65%は手作業で機械化は進まず、たった7人で甲子園球場に近い3ヘクタールを耕しているというのです。これではもう少し楽な仕事を探しに都会に出ていこうとする若者が続出するのも分かります。つまり、この問題の根本解決は機械化にあるということ。この現実から「大多数の農家に幸福をもたらすロボットとは何か?」を考え始めたといいます。参加学生さんたちは、Miganさん考案「自動収穫ロボット」完成予想の説明を聞きながら、ワクワクすると同時に、現地の方が喜ぶ解決策を出すために現実を知る必要があるなと実感してくれていました。私自身、自分では「教えられない」部分をMiganさんから学ぶことができて、本当にいい時間となりました。
Miganさんは私に「日本はなぜここまで成長できたのですか」と質問されました。戦後から今までの工業化と各時期の政策、そして日本の労働環境から通貨制度まで、全てに関心を持ち、的確な質問をしてくれて、ベナンの経済成長のために役立つことは何かを考えているのだなとわかりました。参加学生も、自分達が考えたプランをMiganさんにプレゼンし、フィードバックをもらうことで、より望ましい解決策は何かを早速考え直し始めていました。参加学生さんの中には「どう支援すれば貧しい方々が減るのかばかり考えていましたが、アフリカで生まれる素晴らしい人材と技術をどう活用して豊かにできるのかを考えるようになりました」と話してくれた学生もいます。自発的な気持ちを生み出すいい機会、Miganさんありがとうございました。
ベナンの大学で学んでいた時、実験器具を1からすべて、自分のお金で用意していたとのこと。アフリカでは、優秀な学生さんたちが、日本では当たり前のように与えられている部分で苦労しなければならないんだなと思いました。日本に憧れて日本から最先端の学びを得たいと来日されたMiganさんに、日本の素晴らしさを伝え続けられるよう、私たちも頑張らないと!とみんなが感じていたはず。参加した学生みなさんの将来のどこかに、この経験が少しでも役に立つといいなと思っています。
(CUBE 杉本 喜美子教授)
普段関わることのない、アフリカ育ちで同年代のMiganさんのお話を聞けるという貴重な経験をさせて頂きました。ベナンという国は名前しか知らなかったのですが、人々の暮らしや経済状況を分かりやすい写真とともに説明していただき、ベナンのことを少し理解できたように思います。流暢な日本語で堂々と発表しているMiganさんの姿を見て、私自身も自信をもって生きたいと強く思いました。
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