今日はCUBE初開講となる海外フィールドワーク(インド)の授業をご紹介します。
この授業は、難民としてインドに居住する亡命チベット人居住地区を訪問し、亡命者の生活実態に触れ亡国の民が異国で試みる生活再建のありかたを探るとともに、受入国としてのインドの役割について実地調査を通して社会課題の発見とその課題解決の提案を行うことを目的としています。
現在は8月に行われる現地調査にむけて事前授業をすすめており、今回は世界に拡散する亡命チベット人(チベット難民)の実情についてインドから英語でご講演いただきました。
講演は「Tibetan Way of Life」というテーマで、中央チベット行政府(いわゆるチベット亡命政府)の方にチベットの伝統や人の生活の様子、インドとの歴史的関係性を通して育まれたチベット文化についてお話いただきました。
「仏教とその価値は、常にチベット人の生命線であった。1959年の中国侵略の際に脱出したチベット人は、宝石、装飾品、お金といったものではなく、仏教のテキストと経典類を命がけで持ち運んだ、ということがそのことを証明している」とのお話は特に印象に残りました。チベット人にとっての価値観は仏教の教えに基礎を置き、仏教とその学問と不可分の関係にある文化とアイデンティティによってつくられていることがよくわかりました。
学生からは、チベット文字の由来やチベットと近隣諸国との関係性、インド内のチベット人定住地の立地に関する質問などが出ました。また学生の専攻学問や興味を熱心に聴き取ってくださり、それらの関心を8月に現地で自分の目で見て実際に確かめてもらいたい旨の激励の言葉もいただきました。
8月の現地調査まであと少し。事前学習をしっかりすすめ、実りあるフィールドワークになるよう願っています。
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