CUBE開学から1ヶ月ほどが経過しました。会計学担当,CUBEの新井康平です。
昨日は甲南大学のオープンキャンパスで,私は岡本キャンパスのほうで個別ブース対応をさせていただきました。そこで,何人かの高校生から受けたご質問で共通していたものがあったので,ここであらためてまとめさせていただきます。
それは,
「 プ ロ ジ ェ ク ト 形 式 」 が わ か ら な い
というものです。
確かに,高校生には馴染みのない言葉ですが,CUBEの本質を明らかにする理解する上でも重要な概念なんで,小生なりの理解をもとに,このプロジェクトについて簡単に説明しましょう。
こういう馴染みのない言葉を理解する上で有効なのが,その言葉の反対の意味の語を探すことです。この場合,プロジェクトの反対の意味の語は,「講義(レクチャー)形式」でしょうか。レクチャー形式とは,先生が教壇の上にたって教科書の内容の解説をしたり,その内容についての演習問題やグループワークをしたりする形式で進む授業です。なんてことはない,高校の授業の形式ですね。もちろん,CUBEでも部分的にはこのような形式の講義も採用してはいます。例えば,入門科目としての経営学や経済学。いま,現在進行形で進んでいますが,これらは完全にレクチャー形式です。
この写真は現在,私が担当している経営学入門というレクチャー形式の講義の資料などです。パソコンの画面をでっかく投影して,基本的には私が知識(例えば,株式会社はなぜ優れた資金調達の仕組みなのか)を伝達することになります。
逆にプロジェクトは,このような形式は真逆の授業形式ということになります。というのも,レクチャー形式では,何を学ぶかが明確にあらかじめ決まっているため,それを講義中に伝えて,あるいはその理解度を確認するための演習やグループワークをすることで進めることができます。ですが,プロジェクト形式では,実はあらかじめ学ぶ内容が決まっていません。あらかじめ決まっているのは,解くべき大きな問題だけです。ですので,学生はこの問題に対峙して,自ら分析の枠組みや基礎理論(経営学や経済学)を必要に応じて学び取ることが要請されます。そして,この形式では,学生一人一人の問題へのアプローチ方法が異なることを想定しているため,少人数の双方向的なやりとりが可能な講義環境が必要となるのです。
もう少し具体的に考えてみましょう。例えば,経済学や経営学では,どのように教えたら効果的なのか,という体系が出来上がっているのでレクチャー形式が適していると言えます。ただし,レクチャー形式では,高校で数学や国語を勉強するのとおなじように知識を身につけることはできても,それを現実の経済や経営現象に応用して,ものごとを分析することの訓練がしにくいという弱点があります。そこで,例えばある町の商店街の再活性化,というプロジェクトにおいて,その時点まで受けたレクチャーによる経済学や経営学の知識や,新たに調べた知識,自ら調査を実施して得たデータなどをもとに議論を行い,理論の実践への応用方法を訓練することが必要になる訳です。そして,このようなプロジェクト形式の授業を可能にする環境こそ,少人数教育,優れたIT環境,幅広い専門からなる教員集団,といったCUBEを構成する諸特徴になる訳です。
こう考えると,CUBEの特徴の少人数教育とかIT環境のようないろいろが,CUBEが目指す教育のために必然的に備わっていなければならないものだとご理解いただけるでしょうか。CUBEにおいては,革新的な教育を行う上での障害はもはやゼロであるといえます。ぜひ,高校生の皆さんは,この革新的な教育システムのもとで,社会人として飛び立つための最後の訓練を受けてほしいと強く願っています。
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