『加古川「知」を結ぶプロジェクト』に参加した、3回生の荒金咲乃さんのレポートをご紹介します。
金坂先生の「実践・国と地方の財政学」プロジェクトの履修生から8名が参加し、9月から2月にかけて、加古川市が抱える課題について調査研究を行い、課題解決策を提案しました。私たちのチームは「市の魅力発信:若者を対象とした市のイメージ向上につながるような情報発信方法の提案」をテーマに、加古川市政策企画課ご協力のもと、広報の事例調査や加古川市内でのフィールドワーク(現地視察)、アンケート調査を行いました。
地方創生に興味があったためです。私自身は都市部で生まれ育ったので、自然の豊かさや悠々とした雰囲気に憧れていました。しかし、多くの人が生活の利便性や娯楽の多さを求め、地元を離れて都市部に移っている現状を知り、もったいないと感じていました。また都市部にはない、地方ならではの魅力を伝えきれていないのではないかとも考えていました。そこで、このプロジェクトで加古川市の魅力を最大限に引き出してPRしてみたいと思い、参加しました。
活動で特に印象的だったのは、フィールドワークとアンケート調査です。フィールドワークでは、加古川市内を1日かけて自転車で巡り、市民の生活環境などを調査して、改善点の発見に努めました。例えば、公共交通機関のみでは移動がなかなか難しいこと、また交通量が多いことを知り、提案のターゲット層を更に絞り込むことができました。車を持っていない若者世代に、車移動が主になる場所をPRしてもあまり見込みがない、それならば車を持っている若者世代、ファミリー層向けの提案をしようなど、より課題を明確にし、実現性の高い解決策を考案することができたと思います。またアンケート調査では、どうすれば多くの人から回答を得られるかを自分達で考えました。実は1回目の調査結果は惨憺たるもので、足を止めて話を聞いてくれる人がほとんどいませんでした。スーツを着る、感染対策として手袋を着用する、怪しまれないように背後から声をかけない等、当たり前のことを当たり前に徹底するようにしました。とても地味な取り組みでしたが、警戒心を解き、話を聞いてもらえるようになりました。
また、家族連れの方のご意見を特にお聞きしたかったため、甲南大学公式キャラクターの「なんぼーくん」と加古川市のゆるキャラ「ウェルピー」にご協力をいただいて子供の目を引く工夫をしました。班員全員のほか、金坂先生も交代でなんぼーくんとウェルピーのお手伝いをして調査を行いました。なんぼーくんとウェルピーは大人気で、冬場にも関わらず汗だくになった甲斐あって、多くの人が足を止めてアンケート調査に快く協力してくださり、1回目の調査の5倍近い回答を集めることができました。
フィールドワークもアンケート調査も自分達自身で行うことで生の声を聞くことができ、より市民の意見が反映された提案をすることができたと思います。
調査でデータを読み取って、考えられることを積極的に出し合い、発表に向けて自分にできることは何かを考えて、各々で仕事を見つけて作業しました。
提案内容を考える段階では、自分とは異なる意見に耳を傾けることで新たな視点を発見し、考えの幅が広がりました。
主体性と協調性を両立することで、和気あいあいと楽しみながらチームで活動することができました。
私たちは、子育て世代に向けて、加古川をアウトドアでPRする提案を発表しました。
調査の結果から、就職、結婚、出産などのタイミングを機に転居を考える人が多いとわかったため、20代後半から30代の子育て世代をターゲット層に設定しました。
アウトドアに着目した理由としては、①加古川市には豊かな自然が溢れていること、②定住促進目的でアウトドアをPRすることは関西初の取り組みになること、③子供が外で遊べる環境が整っている、子育てへのメリットがあること、の3点を挙げました。
発信方法は、ターゲット層である20代〜30代が最もよく利用するSNS, Instagramを使い、内容は主にアウトドアイベントの開催や子連れでも入りやすい飲食店の情報、河川敷の使い方、公園の情報など、アウトドアで加古川市をPRすることと子育てする上で役に立つ情報にしました。加古川市が現在もちうる魅力を最大限に活かしつつ、取り組みやすい広報の内容と方法を提案しました。
さまざまなデータや情報などから傾向を読み取り、提示された条件に沿った提案をする力が身についたと思います。今回のプロジェクトでは、文献やインターネット、また有識者などから「与えられる知識」と、自分達の足で赴き、目で見て得た「獲得した知識」の両方を組み合わせて、どんなことが言えるか、どんな傾向があるかを深く考え、自分達なりに分析することができました。また、その過程で得たさまざまな知識や情報は、相手を納得させるための根拠となり、論理立てて話を展開することができたと思います。
さらに、チームで動く際には全員が周りの状況を見て、自分が何をすべきか把握し率先して行動したことで、滞りなくグループワークを進めることができました。このプロジェクトで培った論理性や協調性、状況判断力を今後も活かしていきたいです。
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