農業の現状を知り、未来へ「つなぐ」 -農業フィールドワークレポート-

農業の現状を知り、未来へ「つなぐ」 -農業フィールドワークレポート-
農業の現状を知り、未来へ「つなぐ」 -農業フィールドワークレポート-
CUBE DIARY

農業の現状を知り、未来へ「つなぐ」 -農業フィールドワークレポート-

2022.03.01

CUBEの特長的な授業である「フィールドワーク科目」。
今回は農業フィールドワークに参加した2回生の秋田菜緒さんのレポートをご紹介します。

参加した農業フィールドワークについて教えてください

10月~12月の活動期間と事前授業2回、事後授業2回で構成された自己申告型フィールドワークです。活動日は、全8回あり、そのうち4回が現地での農業体験、残り4回が喫茶部ガレージでの会議や発表でした。(現地体験と喫茶部ガレージでの活動は交互にありました。また、この活動日以外にも、チームで発表に向けて数回ZOOMで会議をしました。)
三田チーム(5名+ファシリテーター1名)と三木チーム(6名+ファシリテーター1名)に分かれて、それぞれ別の作物の栽培や収穫の体験をさせていただきました。三田チームは黒枝豆、三木チームは水耕栽培のトマトです。また、お世話になる農家の方については、三田チームは2つの農家の方、三木チームは4回とも同じ農家の方でした。私は三田チームだったため、三田での活動について詳しく説明していきます。

初回の会議では、今回のフィールドワークのテーマを喫茶部ガレージの方から、そしてお世話になる農家の方の情報や現地の課題をチームのファシリテーターの方から伺い、私たちは何を解決できるのか、今後どのように活動していくのか、何をテーマに活動するのか、最終的にどうしたいのかを話し合いました。それを踏まえたうえで、1回目の現地体験に向かいました。そこでは、黒枝豆の収穫、機械で枝とさやを分ける作業、黒枝豆の選別をさせていただきました。2回目の現地体験は直売所で年に1回行われている三田農業まつりに参加しました。その次の活動日は、活動内容や感想、自分の目で確かめて思った課題などを中間発表として報告しました。3回目の現地体験は、小豆の選別を体験しました。そして、その次の活動日は、最終発表で提案するものを会議で決めました。4回目の現地体験は、畑を動物から守るために建てられている電柵を撤去しました。そして、最終日に最終発表をおこないました。

このフィールドワークに参加しようと思った動機は何ですか?

単純に農業に少し興味があり、毎日食べている野菜がどのようにできているのか知りたい、体験したいと思ったからです。私自身、山や畑、田んぼなどに囲まれた自然豊かな場所で生まれ育って来ましたが、農業にあまり携わったことがありませんでした。けれど、私が住む地域でも少子高齢化で農地の数もどんどん減ってきているため、このままではいけないと思い、農業について学び、地域の力になりたいと思いました。さらに、商品の生産から企画・販売までを学べるため、商品開発に携わりたいという将来の夢につなげられるのではないかと考えたからです。

現地体験には、事前にどのようなことを学んでから向かいましたか?

事前授業では、農業の課題は何かという仮説を立てて、それが立証できるのかデータを調べて発表しました。また、初回の会議の時にファシリテーターの方から、お世話になる農家の方の情報やおこなっていること、課題を教えていただきました。自分たちが思う農業のイメージや課題とは違うかもしれないということも教えていただきました。農家の方にはメンバーで聞きたいことリストを体験までに作り、当日質問させていただきました。

現地の活動で印象的だったことや学んだことを教えてください

農業体験で印象的だったことは、ほぼ全ての作業を手作業でおこなっていたことです。機械を使うことも多くなっているのかと思っていましたが、小豆や黒枝豆など小さなものの選別を手作業でしていたことに驚きました。また小豆の選別で、農家の方は普段使うことのない、木で作られた昔の機械である「とうみ」を使わせていただけたのがすごく良い経験でした。

 

 

 

 
農家の方との交流では、まず、1つ目の農家の方が30代と若いことと兼業農家の方が本当にいらっしゃるということに驚きました。兼業農家の方については知っていましたが、その方に初めてお会いし、お話することができて、こういう職業や働き方があるのだなと将来の選択肢が広がりました。また、2つ目の農家の方との交流では、1つの家族で農業をやるのではなく、農業組合のみんなでやっているということが印象的でした。農家の方たちにも様々な形があるのだなと思いました。このように農業についてだけでなく、農家の方についても学ぶことができました。

また、株式会社喫茶部の小林様のお話で印象的だったのが、「人と人をつなぐということは、街と街をつなぐということ」です。今回のフィールドワークのテーマが「街と街をつなぐ」だったので、これを念頭に両チームとも活動していました。この言葉は、三木チームが最終発表で「三木チームの提案が街と街をつなぐというというよりは人と人をつなぐになってしまいました」と言ったときに、小林様がおっしゃっていたのですが、私はこの言葉にすごく感銘を受けました。街と街をつなぐためには、まず人と人をつなぐ必要があるなと感じたからです。

 

 

課題に対してどのような提案をしましたか?

若者が農業を身近に感じられず、農業離れが進んでいるという課題を見つけました。そこで、都市部の家庭でも簡単にできる農業体験キットを販売し、現地での農業体験に参加してもらうきっかけを作るという提案をしました。農業体験キットの名前は「マイベジット」で、マイベジタブルとペットを掛け合わせて付けました。自分で野菜を育てることで、ペットを飼ったときのように責任感や自立心が育ってほしいという思いでこの名前にしました。
内容物は、不織布の鞄型の植木鉢の中に、野菜の種、土、肥料、土にかえる素材で作られたエコポット、名前プレート、農家の方からの育て方のコツを書いた説明書、農家の方にお手紙を書けるレターセットです。この農家の方からの説明書と農家の方への手紙が、今回のフィールドワークのテーマである「街と街をつなぐ」という役割を果たせているのではないかと思います。
ターゲットは、幼稚園児がいる若い夫婦の家庭です。このマイベジットを販売することのメリットには、自宅で野菜を作り、現地での農業体験に参加したいと思ってもらえる、農業に興味を持ってもらえる、子供の野菜嫌いがなくなる、野菜に愛着がわき食品ロスが減る(食べ残しが減る、皮まで使うなど)、野菜が育つ過程を知れる、親子の時間が造れる、などがあります。

農業フィールドワークで感じたことや学んだこと、今後に活かしたいことなどを教えてください

農家の方の作物に対する想いが農業体験を通して感じられました。また、農家の方にもいろいろな種類があること、実際にお会いしないとわからないこともあるということ(資料の情報だけではわからないこともある)、農業はしんどいだけじゃない、力仕事ばかりではないということを学びました。
課題を見つけ、それを解決するための提案をする過程でも困難がありました。メンバーそれぞれが複数の課題を見つけており、課題を広くとらえていたため、どれに焦点を当てればよいのかわからず、提案に行きつくまで多くの時間を要しました。改めて、商品の企画・開発の難しさや農家の方を不快にさせない提案をする難しさを感じました。
このフィールドワークを通じて、野菜が店頭に並ぶまでどれだけの時間、努力、労力、苦労、人手、手間がかかっているのかがよくわかり、今まで店に並んでいる野菜の価格は高いと思っていましたが、体験後は逆に安すぎるのではないかと思うようになりました。データからの情報だけを信じるのではなく、実際に足を運び自分の目で確かめるということ、固定観念・イメージにとらわれないことを今後に活かしたいと思います。

甲南大学
Copyright © Konan University. All Rights Reserved.
ページの先頭に戻る