リサーチフェスタとは、文系・理系を問わず、高校生と大学生、大学院生がともに自由討論形式で自分たちの「研究」や「活動」について発表、議論する、甲南大学独自のイベントです。杉本先生の研究プロジェクト「開発経済-アフリカ各国の経済成長-」から参加したチームの中で、橘優佳さん 、上村昂大さん、秋山カレンさん、豊島龍一さん、前田一樹さん、平尾優衣さんのチームが審査員特別賞を受賞しました。今回は代表者の橘さんにインタビューをしましたので以下をご覧ください。
私がアフリカに対して抱いていた「貧困」という固定概念を変えようと思ったからです。これまで先生の授業を受講した際に、少しだけアフリカについても話を伺っていましたが、常に「アフリカは貧困だ」というイメージを持っていました。しかし今回杉本先生のプロジェクトを参加するにあたりシラバスを読んでみると、私が抱いていた固定概念を変えられそうな気がしたので参加しました。確かにアフリカは貧困だけど実は世界中のどの国よりも若年人口が多く、生産性を伸ばす可能性があり、これから先大きな経済成長が見込まれる国々であることを学びました。
もう少し計画的にグループワークを進めるべきだったと思います。今回のプロジェクトでは発表が三回あり、毎回の発表ごとにチームで話し合いをする時間はありましたが、内容の詰まった発表を作ろうと考えていると、いつも発表のギリギリに慌てて準備をすることが多々ありました。この経験から、チームで話し合うときは毎回どこまで話し合うかの目標を決めること、そしてデータ収集やスライド作成は分担して取りかかることの重要さを学びました。
アジア経済研究所でアフリカ部門の主任調査研究員として活躍されておられる福西隆弘先生に発表を聞いていただく機会がありました。福西先生に評価をいただくまでは、私たちは考えた案に対して少し自信がありました。しかし私たちの提案はあくまでもインターネットから得た情報やデータをもとに考えたものであったため、実際に何度もアフリカを訪れておられる先生からはたくさんのご指摘をいただきました。そのときはチーム全体でとても落ち込みましたが、いま考えてみると、そこでいただいたご指摘があったからこそ、私たちは発表を改善することができ、リサーチフェスタで審査員特別賞を受賞することができたのではないかと思います。
オンライン授業では対面授業の時よりも、チームメンバーと打ち解けるのに少し時間がかかりました。一度も会ったことがない状態のままオンラインでグループワークを始めると、最初のうちはそれぞれが緊張して黙ってしまう時間が多くありました。しかし徐々にオンラインでのグループワークにも慣れていき、発表が終了した今ではとても仲の良いチームです。そんなオンライン授業にも良い点はあります。全員が時間や場所を気にせずに集まれることです。対面授業のときは授業時間が終わるとすぐに帰ってしまったり、何か話し合いをするにしても予定を合わせることが難しかったりしていましたが、オンライン授業になってからは授業後でも全員が家にいるので残れる人は残れるまで話し合ったり、何か確認することがあればすぐにzoomを開いて確認したりしていました。時間や場所を気にしなくてもいい点についてはとても便利だったなと思います。
私たちのチームは、アフリカの人たちが農業において誰でも簡単に商品作物を作れるアプリの開発を提案しました。アフリカ、特に東アフリカでは人口の半分以上が農業に従事していますが、農業のGDP比は3分の1程度です。その理由として多くの農家が商品作物(販売を目的として生産する農作物)を作っているのではなく、生活をするための自給品を作っているからです。しかしアフリカの農家が日本のように商品作物を生産することができれば、従事者が多いのでそれだけの経済成長が見込まれると考えました。そこで携帯の普及率が高いアフリカの特徴を活かし、解決策として農作業を管理し、市場価格を確認できるアプリを開発しようという話になりました。発表するにあたり工夫した点としては、初めてアフリカの話を聞く人でも分かりやすく且つこのアプリに実用性を感じてもらえるよう、スライドのデザインを重視して簡潔に説明できるようにしたことです。リサーチフェスタのオーディエンスには高校生や他分野の先生が多くいらっしゃいましたが、時間制限が設けられている中、スライドに合わせて簡潔に説明することをチーム全員が心がけていたので、初めて聞く方にも分かりやすく伝わったことが審査員特別賞の受賞に繋がったのではないかと考えます。
物事を考える視野が広がったと思います。例えば、今までは世界経済に関するニュースを見てもアメリカや中国を中心に考えていましたが、いまでは「もしそこにアフリカが関わっていれば?それがアフリカの経済成長につながる可能性は?」などと考えるようにもなりました。これまであまり触れたことがなかった「アフリカ」という分野を知ることで世界の見方が今までと変わったこと、そして様々な角度から物事を考えられるようになったことが、このプロジェクトを通じた成長だと思います。
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