☆今回ご出版された本の内容についてお教え下さい。
この本は、マクロデータ・ミクロデータ・ヒアリングなどを組みあわせて、無業女性の実態やその背景にあるものを探っています。2010年と2015年の国勢調査や、2012年の就業構造基本調査から、未婚無業の女性が増えているのではないか、という推計をしています。その後、実際に大卒でありながら無業である女性の個別インタビューを実施し、「なぜそうなのか」「本人たちは自分たちの状況や将来のことをどう考えているか」を探りました。また子持ちのお母さんたちにもインタビューを実施し、結婚がすべての問題を解決するわけではなく、「働く必要があり、働きたいのに、働けない」というジレンマに陥っている背景も探っています。未婚無業の女性は、結婚すればなんとかなると考えている人もいますが、未婚率も上がり、実際に結婚する可能性が高いのは仕事がある女性です。花嫁修業で家にいても社会的ネットワークが無くなり、自立への道は遠ざかるばかりだということを示しました。
☆ご出版を考えた経緯等がございましたらお教えください。
この本は、現在の社会が女性活躍と言われながら、実際には働きたいのに働けない、そもそも働く気がない無業の女性が多いのではないかということに疑問をもって書きました。特に関西は女性の大学進学率が高いにもかかわらず、大卒時に無業、初職の退職後無職になっている未婚女性が多く、就業意欲が低いと行政の雇用担当者から聞き、私の問題意識は現場にもあると気づき調査を始めました。また子持ちのお母さん達からも「関西は働きにくい」と聞いていたこともありますね。
☆今回の本は、どのような方に読んでもらいたいですか?
特に娘さんを育てている親御さんと、女子大学生ですね。親御さんには、娘さんにこそ、自立する力をつける重要性を理解していただきたいです。また、「女性は適当でいいんじゃない」と考えている企業人の男性方にも読んでいただきたいです。実は、関西は保守的な意識が強く、それもデータで示しています。女性のライフコースも地域によって異なっています。同じ日本でも違うんですよね。題材は関西ですが、女性の抱える生きづらさの根底にある問題は、どこにも共通していると思います。
☆本書の発売後の反響や良かったことなどはございますか?
関西は、女性の就業率が低いことにより家計所得も低く、経済全体の伸びも低いんです。女性の就業率の低さが及ぼす関西の経済への影響には、企業経営者も驚かれていました。また、「もやもやとしていた、私のやるせない気持ちが、そのまま書かれていた」というお手紙や評論家の方々に週刊誌などに書評で取り上げていただいており、無業女性が社会に居場所を再獲得する様々なアプローチの必要性を認識してくださっている方もおられるようです。
☆最後に読者へのメッセージをお願いします。
仕事に就き、経済的な基盤を得ることが、自分への自信をつけ、その後の展望にもつながります。「女子だから頑張る必要はない」「働かなくても結婚すればいい」というのは幻想にすぎません。まずは、自分が生きていく力を身につけるのが重要です。大学生時代に社会に巣立っていく力を自ら獲得し、主体的に人生を切り開くことが必要です。実は、私が見たところ、男子学生だからできているという訳ではありませんが、女子にはそこから逃げる口実がありますね。
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